2022.08.07 第50回九州サッカーリーグ第17節 vs KMGホールディングス 鈴木 将馬選手 インタビュー
ゴール奪取、自分の使命
ゲームの動き冷静に予測
会社、都農の皆さんへ恩返し誓う
限られた時間の中でもきっちりと仕事をこなす。そんなFWは頼もしい。ヴェロスクロノス都農の11番鈴木将馬が今季、FWとしての役割を体現している。けがの影響もあって計8試合278分の出場にとどまりつつも、試合数を上回る9ゴール。「万全な準備をして試合に臨み、結果にこだわってやっている。とにかく点を取る」。前への推進力、ゴールへの嗅覚に長けた左ウイングはさらなる飛躍を感じさせる。
8試合中、スタメン出場は1試合。残りはすべて後半途中出場だ。心身両面でスムーズにゲームの流れに乗る力が求められる中で、「前日から試合をイメージし、当日はベンチからしっかりと試合を見て、ゲームに入っている」と言う。ぶれないルーティーンでピッチに立つと、「味方、相手の動きを見て、いろいろと予測しながらゴールに直結するプレーを心掛けている」と力強く語る。
今季は開幕戦で2発、翌週に4発。J.FC宮崎時代からの加入4年目で最もいいスタートを切ったが、4月中旬の練習中に右太ももを肉離れ。約2カ月、戦線離脱を強いられた。「回復後、早く自身のプレーを取り戻せるようにやれることをやった」。リハビリが順調に進み、6月の大一番、沖縄SV戦で戦列に復帰した。ゴールネットを揺らせず、チームも敗れはしたが、少ない時間の中でも存在感は示した。後半戦に向けて期待感を抱かせ、その通りに4試合で3ゴールを記録して見せた。
サッカー王国・静岡県出身。幼稚園の時にごく自然とボールを蹴り始め、小中学生時代は地元のクラブに通った。当時からストライカーとして活躍し、高校は自身を磨くために敢えて地元を離れ、強豪の青森山田高を選択。実力者が集う部員120人超の中で、サッカーも生活面も揉まれた。年ごとにレベルを上げ、3年生でレギュラーの座を獲得し、冬の全国選手権ではゴールも決めた。3年間、雪国での生活で思い出深いのは雪中サッカーという。銀世界のグラウンドに足を取られながら、走り、ボールを蹴り、「本当にきつかった。足腰を鍛えられた」。選手としても人間としても一回りも二回りも成長し、地元に戻り、常葉大でも活躍した。
2019年、地域リーグやJFLチームが選手獲得に動くセレクションを経て、J.FC宮崎に加入した。それから4年、古参となり、チーム名が変わり、活動拠点も変わった。「いろいろあったけど、チームのレベルは確実に上がり、上を目指せるチームになっている。最高のチーム」と言い、ヴェロスクロノス都農イレブンとしてプレーできることを誇りに思っている。
クラブ入団時からシフトプラス株式会社都城営業所で働く。「会社の人たちには公私両面で本当に良くしてもらっている」。仕事とサッカーの両立を提供してくださっていることへの感謝、いつも応援してくれることへの感謝…。その思いを胸に、日々を過ごしている。
JFL昇格を掲げた今季、首位沖縄SVを勝ち点差5で追う苦しい展開だ。ただ、昇格に向けた最初の関門・九州制覇を落としたとしても、全国社会人選手権(10月)を勝ち抜いてのJFL挑戦の道は残る。FWらしいポジティブさを前面に出し、「絶対に諦めない。何とかなる。JFLに昇格することこそが、都農の皆さん、会社の皆さんへの恩返し」と言い切る。この日のホーム戦は「SHIFTPLUSプレゼンツ」の冠がついた。「気合が入る。点を取る姿を見せることが自分の使命」。リーグ終盤戦へ、秋の陣へ、迷うことなく右足を振り抜きチームを勢いづける。
2022.07.10 第50回九州サッカーリーグ第15節 vs川副クラブ マッチデイニュース 柳田健太選手インタビュー」より加筆・転載。
文:鳥原 章弘 写真:中村 武史
- 2022.08.07
- 選手・スタッフ