2024.09.13

《選手&スタッフ インタビュー#35 》中山 雄希選手インタビュー

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加入直後からサポーターの熱視線を集めるFW

「継続は力なり」を体現する、サッカーエリートの原動力とは?

即戦力としてチームを引っ張る中山雄希選手にインタビューした

 

挫折を味わった学生時代


―サッカーをはじめたきっかけを教えてください

サッカー選手だった父親の影響です。物心ついた頃からボールを蹴っていたんですけど、本格的に始めたのは小学2年生の頃です。毎朝5時に小学校のグラウンドに行って、父親と一緒に朝練していました。皆が登校してくる時間に一度車で家に帰って、学校に行く準備をしてまた登校……というのを繰り返していましたね。近所には強いクラブチームがなかったので、父親が探してくれたサッカー少年団に片道一時間かけて通っていました。毎週末、長距離の送迎をしてまで強いクラブチームに入れてくれたことが、今の自分につながっていると思います。

ヴェロスクロノス都農では強力な攻撃陣の一翼を担う中山選手

 

―学生時代の出来事で印象に残っていることを教えてください

中学時代に途中でクラブチームを変えたことです。「辞めたい」と思ったことは今まで何回もありますが、中学時代が一番辞めたい時期でした。

 

―辞めたいと思ったきっかけは何だったんですか?

中学生に上がったタイミングで全国優勝を狙えるレベルのクラブチームに入ったんですが、周りの強さについていけず全然試合に出られなかったんです。フィジカル面でも成長期でみんな身体が大きくなっていく中、自分は背も小さくて。当時、父親に「(サッカーを辞めて)野球やるか?」と言われたのは今でも覚えています。

 

―そこでサッカーを辞めずに乗り越えた方法を教えてください

父親の言葉ですね。「クラブを辞める=サッカー選手になる夢が終わるわけじゃない」と言ってくれて。「クラブを変えても良い」という選択肢のおかげで、サッカーを辞めずにここまで来られました。諦めずに続けることも大事ですけど、サッカーが好きという軸をずらさないために、違う方法を選択することも大切だと感じましたね。FC KASUKABEという良いチームに出会えたこと、両親が支え続けてくれたことが挫折を乗り越えられた大きな要因だと思っています。

チームをJFL昇格へと導くゴールが期待される中山選手

 

―高校では日本代表に選ばれていますよね?

はい。高2のはじめ、追加招集で世代別の選抜(U-17)に選ばれたんです。日本代表のユニフォームを着るなんて夢のようでした。でも、レベルの高いプレーが繰り広げられる中、緊張に負けてしまって何もできなかったんです。「このままじゃ終われない」と強く思った日ですね。それからより一層練習に励みました。
そして高3のとき、今度は追加招集ではなく最初から呼んでもらい、絶対に何かを残したいという思いで海外遠征に臨みました。初めて海外選手と戦う中で2点を決められたのは、1年前の経験があったからこそだと思っています。

 

―なかなかハードな学生時代を送っているように思いますが、うまくいかない時期を乗り越えられた秘訣を教えてください

やっぱりサッカーが好きということですかね。どんなに選ばれなくても、思うようにプレーができなくても、サッカーが好きという気持ちは消えませんでした。特に高校生はやればやるほど伸びる時期。父親と一緒に練習とトレーニングを繰り返していました。思い返すと、何かを変えたというよりかは、同じメニューを淡々とひたすらに続けていた気がします。

 

 

「とにかく試合に出たい」誰にも負けない粘り強さ


バイタルエリアで存在感を放つプレーが印象的な中山選手

 

―Jリーグ時代、印象に残っていることを教えてください

自分自身が成長できたという意味で、SC相模原時代が一番印象に残っています。
サブどころかメンバー外なことも多くて、正直どうせ選ばれないだろうと高を括っていました。なのでメンバー発表を待たずにジムへ行ったりして。「身体の調整とか言える段階じゃない!」と思って、がっつりトレーニングしていましたね。
そのSC相模原時代に、初めてチームを助けたゴールを決められたんです。チームの降格がかかった大事な試合でした。拮抗していて、80分経っても0-0だったんですよ。残り10分であれよあれよと1-1になり、このまま試合終了かと誰もが思っていたところ、ロスタイムで自分が1点いれて。逆転勝利しました。80分からが試合スタートと言えるくらい、濃い10分でした。

 

―お話を伺っていると、自分で自分を奮い立たせる力がすごくあるように思いました

根底にあるのは、ずっと支えてくれた両親を喜ばせたいという思いです。
自分を応援してくれる人が身近にいることが、ここまでサッカーを続けられている原動力かなと思います。父親はサッカーに関してとにかく厳しくて。試合でもワンプレー終わる度にコーチではなく父親の表情を伺っていました。それくらい怖かったです。
父親が厳しい分、母親はめちゃくちゃ優しくて。「息子のプレーが一番」って言ってくれます。「うるせえ、そんなわけねえよ」と反抗した時期もあるんですけど(笑)いつも栄養を気遣ってごはんを作ってくれて、感謝しかないです。

チームメイトと喜びを分かち合う中山選手

 

―ヴェロスクロノス都農に入ったきっかけを教えてください

前チームが契約満了となり、移籍先を探していたときにお声がけいただきました。真人さん(小寺真人監督)とzoomで面談する機会をいただいたんですが、Jリーグへの思いが強くて一度断ったんです。それでも移籍先が決まらなくて、辞めようかと思っていたとき、再び声をかけてもらいました。改めて話を聞いて、ここでなら自分も成長できると思い、加入しました。

 

―今季は16試合中15試合に出場されていますね。体力面、精神面でコンディションを維持する方法を教えてください

なんでしょう……「怪我しない」ですかね。プロ3年目で怪我をしてしまったんです。怪我をすると出場機会も失うし、練習量にも差がついてしまうことを痛感しました。それ以降、瞬発的な動きを鍛えるトレーニングを続けているおかげで、身体に負荷がかかるプレーでも怪我無くできています。

 

―他の選手に負けない自分の持ち味は?

ディフェンスラインの背後を取る動きですかね。ここは負けちゃいけないと思っています。左足のシュートとスピードもよく評価いただくんですけど、父親が鍛えてくれたおかげかなと思っています。

相手ディフェンスの裏のスペースを駆け抜ける中山選手

 

都農での暮らし


―都農での暮らしは慣れましたか?

慣れました。ファミレスとかチェーン店が一軒もないので自炊をするようになりました。ちなみに最初に作ったのは野菜炒めです。それしか作れないんですけど、味付けを変えて楽しんでいます(笑)
外食するときは、去年一緒のチーム(ギラヴァンツ北九州)にいた永野雄大と行くことが多いです。

 

―地域おこし協力隊ではどんなことをやっているのですか?

農業班として関わらせていただいています。最近はぶどうの収穫が多いですね。今日もぶどうを収穫して来ました(笑)牛の世話とかキャベツの収穫とかもやっているんですけど、今までこういった経験がなかったのですべてが新鮮です。農家の皆さんがとてもよくしてくれて、県外の試合にも応援に駆けつけてくださるんです。すごく力になっていますね。

地域おこし協力隊の一員として、ぶどうを収穫する中山選手

 

―スタッフから「中山選手はクールな性格」とお聞きしましたが、身近な人からはどんな人と言われますか?

クールって言われたことないですね……影でそう言われているのは嬉しいです(笑)まぁでも……優しくありたいとは思っています。

 

―選手プロフィールのQ&Aにある「自分の性格」も「優しい」と答えていらっしゃいますもんね。

あれ間違えたな~と思っていたんですよ(笑)自分で優しいって書くのおかしいですよね。「優しくありたい」って書き直したいです。

 

―これからどのように活躍していきたいですか?

スポンサーの皆さんが、「選手がより良くプレーできるように」と支援してくださっているので、絶対昇格しなければいけません。自分の力でこのチームをJFLへ昇格させたいという思いはすごく強いですが、その目標を達成するには自分自身、もっと練習が必要だと思っています。今年の夏はあまり点を入れられなかったので、これから挽回してチームの昇格に貢献します。

 

―応援してくれるサポーターの方々へひとことお願いします

都農を盛り上げたいという思いでこのチームに入りました。JFLに昇格して地域の皆さんに喜んでいただきたいですし、チームと町の人が一体となって、都農町をより盛り上げていきたいと思っています。日々の練習から常に100%を出し切り、より一層努力していきますので、応援よろしくお願いします。

 


中山 雄希 選手の詳細プロフィールはこちら

2024.09.13
選手・スタッフ

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