利き足の左足を巧みに振り抜き、チームを初戦突破に導いた。
持ち味のパワフルで鋭い仕掛けを存分に発揮して相手に「怖さ」を植え付け、ここ一番で値千金弾をたたき込んだ。
初戦のヒーローFW中山雄希選手は「全員がゴールに向かう強い気持ちを持ってプレーし、自分もしっかりと次のボールの動きを予測できていたのでゴールにつながった」と、気持ち良さそうに汗をぬぐった。
攻めても、攻めてもゴールを奪えず、刻々と時間だけが過ぎ、ドローならばPKで決着という予想外の展開。
それでも攻撃陣は懸命に前を向き、選手交代により右ウイングからトップ下へポジションをチェンジした中山選手自身も冷静に好機を待った。
アディショナルタイムを入れても残り7、8分。右サイドでボールを奪取したMF中村亮選手、その後方に陣取ったDF栁田健太選手の動きにチャンスを感じ取った。「サイドで組む選手たちなので阿吽の呼吸というか、これまで積み上げてきたものがあるので。
リョウ(中村選手)が持ったからここにくるだろう、ヤナ(栁田選手)が持ったからここはチャンスになるだろうという共通認識の中で動けた」。
その言葉通り、中村選手から柳田選手を経て前線に出たチャンスボールに、同じFW酒井信磨選手の動きとも連動させ、鮮やかな連係プレーでゴールネット揺らした。
序盤から右サイドをスピードに乗ったボールコントロールで切り裂き、クロスそしてシュートも放った。
人一倍、果敢にピッチを駆け回った。「滋賀にこれなった選手の分、今日試合に出られなかった選手の分、悔しい思いをしている選手がいる中、絶対に負けるわけにはいかなかった」。
仲間を思うチームファーストの気持ちで心を奮い立たせ、幾度となく見せ場を作り、最後の最後にきっちりと表現して見せた。
今シーズン、ギラヴァンツ北九州からチームに加入。大型FWとしてスタートを切った。
ゴール量産も期待されたが、試合ごとにマークは厳しくなり、プレーに悩みも生じ、持ち味を出し切れないまま九州サッカーリーグでは6ゴールに終わった。100点満点には程遠く、だからこそこの日からスタートした秋の大一番に懸ける思いは強い。
「出ている選手が感謝や勝利への思いを表現しなくてはいけない。明日からも僕が波に乗せられるように頑張りたい」。
絶対的FWとしての存在感をさらに高め、躍動を誓う。
2回戦の相手は関東の強豪・東京23FC。若さと勢いがある成長著しいチームだ。
全国地域チャンピオンズリーグに向けて最高の力試しとなり、だからこそ熱く胸が躍る。
「そういったチームにチャレンジャーの気持ちを持って挑み、今日以上にもっともっとエネルギーを出したい。
都農町の一員らしく。ヴェロスクロノス都農の名前をアピールしたい」。
会心のゴールで流れをつかんだストライカーが悲願のアマチュア日本一へ導く。
- 2024.10.19
- 選手・スタッフ