白星以外ならば決勝ラウンド進出に黄信号が灯る一戦で、FWの大黒柱が輝きを放った。
前半、時間を追うごとに攻撃のリズムが高まり、主導権を握れそうな局面で、きっちりと先制弾を決めた山田雄太選手。
「個人としてもチームとしても波に乗れて、最後まで全員が体を張って勝つことができた」。滴る汗を気持ち良さそうに拭いながら、90分間の大一番を振り返った。
その場面は29分。絶好の位置で直接FKを獲得し、キッカーはDF栁田健太選手。
センタリングの名手からの生きたボールの供給を信じ、タイミングを計って相手ゴール前に飛び込んだ。
「ファーに流れてくるボールを押し込むという練習を何度もやってきた。
練習通りのボールが入ってきたので冷静に右足を振った」。トレーニングの成果を重要な局面でしっかりとやってのけ、エースストライカーとしての自覚を漂わせた。
今シーズンJFLチームから都農入りした。
九州リーグでは要所で大車輪の活躍を見せてチームを活気付け、最前線を担う選手としての責任感や存在感を仲間に植え付けた。20ゴールを挙げて目標通りの得点王を射止め、リーグ2連覇の立役者となったものの、体への負担は大きく、リーグ最終盤の8月に左足をけが。
約1カ月の戦線離脱を余儀なくされた。秋からスタートする大勝負に向け、チームとしても個人としても、さらに戦術を深め、コンディションを高めていきたい時期に思わぬ壁にぶつかった。
回復後も中々、本来の調子を取り戻せない状態が続き、10月の全国社会人選手権では動きに精彩を欠いた。
それでも下を向くことなく「チームのために必ず」という思いを切らさず、トレーニングに励み、ベテランFWらしくJFL昇格を争う舞台には間に合わせた。
「けがで離脱するというのが自身のキャリアの中であまりなかったので対応が難しかった。そういった中で仲間たちがしっかりとこの舞台を作ってくれた。だからこそ自分も成長に向けて調子を合わせることができた。チームのみんなに恩返しできればという思いだった」。
支えに対する強い感謝の気持ちをボールに乗せ、決勝ゴールに繋げた。
この日の後半はディフェンスの時間帯を長く強いられた。予想していた以上の展開となりつつも、DF、MF陣との連係を取り、共に体を張ってゴールを守った。
自身の持ち味である積極的に体を入れて相手の動きを止め、ためを作り、FWの守備としての役割を全うした。
1次ラウンド最終戦は同じ九州リーグ所属のジェイリースFC。「九州リーグのチャンピオンとして、同じリーグの相手に負けるということは絶対にあってはならない。ファンの方や現地まで来てくれている人に向けて熱いプレーを見せる」。
攻守にわたって「らしさ」を取り戻し、勢いに乗った背番号9は決勝ラウンド進出を固く誓った。
- 2024.11.09
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