2024.04.04

《選手&スタッフ インタビュー#14 》小寺 真人監督インタビュー後編

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就任以降、着実にチームを進化させてきた小寺真人監督。

彼の溢れ出るサッカーへの情熱と指導者としてのルーツはどこにあるのか?

チームに関わる全ての人の想いを背負い、夢に挑む若き指揮官にインタビューした。

<後編>

分析官兼通訳から、ヴェロスクロノス都農の監督就任へ


ロティーナ氏の元でJリーグの3つのクラブを経験された後、現在のヴェロスクロノス都農の監督に就任されたわけですが、きっかけはなんだったのでしょう?

清水エスパルスでの仕事が終わった時、ミステルは一度スペインに帰って休む意向でした。イバンには監督のオファーがあったようですが、彼も「ミステルと一緒に次を待とうかな」という感じでした。

この5年間はロティーナとイバン、いわば2人の監督から非常に多くを学ばせてもらった、すごくいいインプットができた時間でした。だからこそ、学んで終わりではなく、やはりピッチ上で指導者として実践しないと、「自分の力になっているかどうか分からない」とずっと思っていました。そこで、当初を監督ではなくコーチをイメージしながら、どこか指導できるチームを探していた時に、ヴェロスからオファーをいただいたんです。

 

―監督就任の決め手はなんだったんでしょうか?

「うちに来てほしい!」という熱意や、「自分を必要としてくれている」と感じさせてくれたのは都農でした。トップチームの監督経験がない自分に対して、監督のオファーを出すことはなかなかできることではないですし、今でもすごく感謝の気持ちがあります。

実際に都農に来て環境を自分の目で確かめられたことは大きかったです。天然芝のグランドで午前中にトレーニングができるし、実際試合を見てもクオリティの高い選手たちがたくさんいて、「JFL昇格が口だけの目標ではない」ということを実感しました。あと、取締役の山本さんと新名さんと実際にお会いして話してみて、「この人たちと一緒にチャレンジしたい」と感じました。

 

―都農町に初めて来た時の町の雰囲気や印象はいかがでしたか?

都農に来るまでは、バルセロナや東京、大阪など、ずっといわゆる都会に住んでいたんですが、地方での生活にネガティブな気持ちはありませんでした。むしろ自分は、「サッカーができる環境」「落ち着いて働ける環境」に幸せを感じる人間なので、とても理想的な場所だなと感じました。「家族がどう思うか?」という不安は少なからずありましたけど、空が広くて、空気もおいしくて、すごくいい町だなって。また、当時子供が0歳だったので、「こういう環境で子育てできたらいいんじゃないかな」と思いましたね。

 

交代でピッチに入る選手を激励する小寺監督

 

監督として挑むプロの世界


―晴れて2022年、ヴェロスクロノス都農で監督としてのキャリアをスタートされたわけですが、指導をする上で大切にされていることはなんですか?

チームのプレーの核になる部分を深めていくこと。でも説明の「言葉は短く、わかりやすく」っていうのは常に意識しています。映像を併用することが伝わりやすいのかなと思っています。選手も選手の記憶があって、自分も自分の記憶があるので、互いの記憶をすり合わせるためには映像を使うのが1番早いんです。あとは、理論だけじゃなく、情熱を持って選手たちに接していくということ。これが非常に大事かなと思っています。

 

―監督をするにあたって影響を受けた方、参考にされた方はいますか?

ロティーナとイバン、そしてフィジカルコーチのトニの3人。彼らから学んだことがベースにあるからこそ、今こうやって監督をすることができていると感じています。バルセロナで出会ったサッカーサービス(エコノメソッド)の指導者陣や、彼らの理論にも大きな影響を受けました。スペインに行く前は、ライカールトとペップ・グアルディオラ時代のバルセロナです。当時のバルサを毎週観ていて、バルセロナに行きたいと思いました。今よく見ているのはマンチェスターシティやアーセナル、レバークーゼンなどですね。自分たちでボールを握って、ゲームを支配していくチームの試合をよく観ています。原則的なコンセプトは自チームに取り入れられるので、参考にしていますね。

 

―サッカーをする上で1番大事にされていることはなんでしょうか?

「自分がどこから来たのかを忘れないこと」です。幸せなことに、今の自分は好きなことが仕事になって、1日24時間好きなサッカーに時間を費やせる生活を送っています。決断することは大変なことだし、重圧も感じる仕事ですが、それでも楽しむことを忘れずにいようと思っています。仕事だけど、仕事である前に「自分にとってサッカーは夢中になれる遊びだったんだ」っていうことを忘れないことが、なにより大切なんじゃないかと思います。

新たなチームの集合写真(写真中央:小寺監督)

 

都農町への想いとヴェロスクロノスの未来


―今年は、選手の入れ替わりもあり、かなり若いチームになった印象です。実際のチームの雰囲気はどうですか?

かなり伸びしろがあるチームだと思います。若い選手の良いところは、上に上がっていくんだという野心があるところです。また、このカテゴリーは連戦が多いので、連戦を戦える耐性があることは若い選手のメリットですね。昨年からのクオリティを更に向上させながら、連戦も戦えるチームになるんじゃないかなと思っています。

 

―今年のチームスローガンは『結束』です。実際にこのスローガンに決まった時はどんなお気持ちでしたか?

選手が入れ替わり、クラブ内も部署が増え、Jリーグに行くために体制が整ってきています。関係性も日に日に変化している中で、「バラバラにならないこと」が、非常に大事だと思っています。目標や目的を共有して、クラブにいる全員が自分の役割に誇りを持って前に進んでいくことが大切だと思うので、今このタイミングに必要なスローガンだと思いますね。

 

小寺監督が目指すチームの在り方や、応援してくれる都農町の方たちとチームの関係性にもリンクする印象も受けます。

都農町は、温かくて熱い人が多く、結束した時のパワーがすごいんですよ。例えば、お祭りとかも熱気というか迫力がすごいんです。わざわざ祭りのために、全国から都農町出身の方たちが帰ってきたりして。「郷土愛ってこういうことだな」と感じさせてくれます。

結束した時にすごい力を発揮する町なので、そういう町を代表するクラブとして、自分たちも行動で表現していきたい。都農町のシンボルになるような、結束したチーム・組織を作っていきたいです。

 

夢を掴みにいく、勝負のシーズンに向けて


―就任から3シーズン目を迎える今季の目標をお聞かせください。

地域チャンピオンズリーグに出るために、まず九州で優勝する必要があります。簡単ではない。全然、簡単ではないんですよ。そのためには日々のトレーニングで成長していくことが大切です。まずは日々のトレーニングを、選手・スタッフ全員がしっかりやっていくことが1つ目の目標です。良い準備をして、目の前の一戦一戦を全力で戦う。そして、九州リーグで優勝して、 地域チャンピオンズリーグでも優勝して「昇格」することが最終的な目標です。

 

―「JFL昇格」がチームの1番大きい目標だと思いますが、ご自身にとって今後のビジョンや展望はありますか?

清水エスパルスにいた時に、翌年自分が宮崎で監督しているなんて全く想像していなかったです。何が起こるかわからないからこそ、展望は持ちつつも、あえて「刹那的に生きる」というか。目の前の役割に、全力で取り組んでいくことが大事だと思っています。監督として任された、ヴェロスクロノス都農を「JFLに昇格させる」というプロジェクトを成功させたい。それこそが個人としても1番大きい野望であり、夢であり、目標ですね。

 

ー最後に、支えてくれている都農町の方をはじめ、全国のサポーターの方へメッセージをお願いします。

「JFL昇格」への想いは強いです。大きな目標を口にするのは簡単ですが、我々は日々のトレーニングの姿勢、ピッチ内外のプレーや振る舞いで、それを示していきたいと思っています。

毎週の試合で、自分たちがその言葉(昇格)を口にするだけでなく、周りから「このチームはJFL昇格に値するチームだ」と言われるような、内容・結果を出し続けていきます。近くで応援していただけたら非常に心強いです。

今シーズンもよろしくお願いします!


―おまけー

―ちなみに、フルで休める日があったとしたらどういう過ごし方をされますか?

家族と一緒に過ごしますね。普通のご家庭は土日休みで、子供をどこかに連れて行って、いろんな体験をさせてあげるんだろうなと思うので、自分も子供も休みだったら、そういうことは極力したいと思いますね。子供が幼稚園行ってるなら、奥さんとどこか飯でも行って、ゆっくりしたいですね。

ただまぁ趣味が仕事になってるんで、1人やったら結局サッカー観ちゃうんですよね。(笑)他に趣味なんて全然ないですし、趣味は欲しいですね。趣味欲しい(笑)


《前編》はコチラ
「指導者を目指したきっかけ」や「現地スペインでの生活」、
そしてロティーナ氏、イバン氏との出会について語ってくれています。

2024.04.04
選手・スタッフ

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