2025.03.18

《選手&スタッフ インタビュー #39 》井上 将弥選手インタビュー

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今シーズン、同じ宮崎県内のライバルチームからヴェロスクロノス都農へ加入した井上将弥選手。

何度も対戦を繰り返してきた井上選手が、なぜヴェロスクロノスへの移籍を決断したのか。 

移籍の舞台裏やサッカーへの熱い想い、今シーズンの活躍に向けた決意を語ってもらった。

 

自身の成長のために決断した移籍


―チームに加入されたのが今年1月。加入前はヴェロスクロノスに対してどういった印象を持っていましたか?

昨シーズンまで対戦していたときのヴェロスクロノスは試合運びがうまいチーム、という印象でした。経験豊富で大人なベテラン選手が多く、落ち着いているので試合の進め方がうまい、対戦相手としては正直めんどくさい相手だったんです。

 

―実際に加入されてみて、どうですか?

印象は180度変わりました。年上の先輩が多いけど、年齢に関係なく接しやすいですし、みんな明るいというか、言い方はあれですが子供みたいな人が多くて(笑)。特に中村亮選手(背番号10)は、プレーはキレッキレなのに、ロッカールームでは5歳児みたいな絡み方をしてきます(笑)。良好な関係、いい雰囲気のチームだと思います。

今年ライバルチームのFC延岡AGATAから移籍した井上選手

 

―前に所属していたFC延岡AGATAはヴェロスクロノスと同じ宮崎県内のライバルチームです。改めて移籍の経緯を教えてください。

強化部長の根本一也さんに声をかけていただいたのがきっかけです。根本さんとは国体で2年間一緒にやっていました。

AGATAは大卒の選手を多く獲得して、若手中心のフレッシュな力で戦うチームでした。私も大卒で入団し、3年目ぐらいになると中堅ぐらいになっていたと思います。ステップアップのために環境を変えて新しいところでチャレンジしたいと思い、シーズンを終えた時には退団を決断。根本さんに状況を聞いたら、ディフェンダーが空いている、ということだったので話を進めてもらいました。

延岡と都農は車で一時間ぐらいしか離れていないのでライバルチームではあるんですが、「ライバルだから」と移籍に対して迷うことはなかったです。プロの世界ではライバルに移籍することはよくあることですし、昨年は久野龍心選手(背番号2)もAGATAから移籍していました。移籍をAGATAのチームメートに伝えたときには快く送り出してもらえましたが、ヴェロスに最初に来た時には「裏切り者!」と冗談で言われました(笑)
 

―井上選手はこれまで何度もヴェロスクロノスの前に立ちはだかり、プレーの熱さはヴェロスサポーターの中でも知れ渡っていたので、憎たらしい存在であったことは間違いないですよ。

普段は穏やかな性格なんですけど、試合では打って変わって違う性格になるんです(笑)。特に宮崎ダービーはAGATAの監督から「負けたら延岡に帰れんぞ!ここで負けたら終わりやと思え!」と檄を飛ばされていたこともあり、熱が入っていたのは事実ですね。2023年6月に佐賀でやった対戦は記憶に残っていて、一対一で相手を止めた時には吠えたり、ガッツポーズしたりして。相手を煽るようなパフォーマンスもしちゃっていました。

 

―過去には九州リーグの優勝を争っている試合で、谷口堅三選手(FW/2023シーズン引退)とやりあって退場したりもしていましたね。2022年の全国社会人サッカー選手権(通称:全社)3位決定戦でAGATAと対戦したときには、井上選手に決勝点を決められ、ヴェロスクロノスは負けました。

セットプレーからの得点は私のストロングポイントの一つですが、いまは相手を止めるときが一番気持ちいい。フォワードはオラオラ系で俺すごいだろと思っている人が多いので、それを止めると「よしっ!」ってなります。

 

―井上選手も試合中はオラオラ系が入っていますよね?(笑)

多分、試合中は普段とは別の人になっちゃうんだと思います(笑)

FC延岡AGATA在籍時にヴェロスクロノス都農と対戦する井上選手(写真右)

 

大好きなサッカーを続けたい一心で


―ずっとディフェンダーだったんですか?

最初はフォワードをしていました。友達から、サッカー部に人が足りないから一緒にやろうよ、と小学4年生の時に誘われたのがきっかけです。身長は小さく、ひょろひょろだったんですけど、足だけは速かったし、点を決めるのがとにかく楽しかった。他の習い事や遊びには見向きもせず、ずーっとボールを蹴っていました。中学もフォワードでしたが、高校生になったときに体格が大きくなったこともありボランチを勧められて、高校3年生でセンターバックに転向しています。

 

―ポジション変更に戸惑いは当然ありましたよね。

役割はもちろん、見える景色が全然違うし、周りにコーチングもしなければいけないので、戸惑いました。正直、うまくいかずに後ろはきついなー、やめようかなーと何度も思いました。が、高校生の時は強豪校が多い福岡県でベスト4まで残れて。そういった成績もあって特待生で関西福祉大学サッカー部に入部できたんです。歴史の浅いサッカー部の4期生で、関西リーグの1部と2部を行ったり来たりでしたが、大学4年生の時には総理大臣杯で大学としても個人としても初の全国大会出場を果たしました。

 

―プロを意識されたのはいつごろからですか?

大学にサッカー特待生で行くんだったら、ちゃんとプロを目指そうと思っていました。教員免許を取得できる学部だったんですけど、教育実習で1か月間サッカーができなくなるのが嫌過ぎて、教員免許を取らずにサッカーに専念することを決めて。それから、大学3年生の冬に監督の紹介でカターレ富山のキャンプに1週間ぐらい参加させてもらって、プロ相手でもやれる!と自信を持ちました。そこからはサッカーを続けたい一心で、運が良ければ結果次第でプロから声がかかるかも!と、必死で続けていました。

プロサッカー選手になることを目指していた関西福祉大学時代

 

セットプレーと対人の強さに期待してほしい


―井上選手が考えるご自身の強みは何ですか?

先ほどもお話したセットプレーからの得点と、対人の強さ、ヘディングで跳ね返したりする空中戦です。相手がいて、競る中で湧き出てくる力があるんだと思います。

 

―ヴェロスクロノスではどういった役割ですか?

小寺監督の考える基本的なフォーメーションは4-4-2で、基本後ろは4枚。センターバック2人のうちの1人になります。これまではマンツーマンディフェンスで対応していたことが多かったんですが、ゾーンディフェンスが中心になります。

 

―ディフェンスのやり方が違うと、どんな変化があるんですか?

決められたポジションがあって、そのポジションを取った者がその場を制する、という考え方なので、自分の動きだけじゃなくチームの連動が必要となります。戦術の中での細かい立ち位置や守備の仕方を覚えるのは苦手なので、最初は苦労しました。自分の言葉で周りの選手を動かせたら守備ももっと楽になると思うので、コーチングスキルの向上が必要ですね。

 

―開幕に向けたチームの状態はいかがですか?

チームとしての守備は固まってきていて、プレシーズンマッチでの失点は少ないと思います。最後のところで多少合わずに点を取れなかったりしていますが、コミュニケーションは取れていますし、やるべきことがチームで理解できていると感じています。

練習風景。ピッチ上では年齢関係なく何でも言える関係が理想、と語る井上選手(写真左)

 

新天地、新生活の充実感


―普段はどんな生活をしているんですか?

月曜日以外の平日は午前中練習して、午後からシフトプラス都農営業所に出社しています。土日はどちらも試合があることが多いです。

 

―お仕事はどんなことをされているんですか?

ふるさと納税返礼品についてのサイトを管理しています。新規登録をしたり、返礼品ページの作成、修正をしたり。仕事は2月に入社したばかりなので、初歩的なことから徐々にやり方を教えてもらっています。目の前の仕事で精一杯です。

 

―リフレッシュ方法は?

美味しいものを食べたり、サウナに行ったり、古着が好きなので買い物に行ったり。宮崎県に来て4年目なので、延岡周辺は結構行ったんですけど宮崎市方面はまだまだ開拓中です。都農ワイナリーに併設してあるパン屋さんはお気に入りでよく行きます!

 

―最近、プライベートでの変化もあったそうで…

移籍が決まってから高鍋町に引っ越しました。実は、4月に入籍予定です!

 

―おめでとうございます!お相手はどんな方なんですか?

延岡の行きつけの飲食店で知り合った、地元の方です。サッカーにはあまり興味がないみたいです(笑)

シフトプラス都農営業所での様子。パソコン操作はまだ不慣れ…

 

最高のシーズンにするために


―心機一転のシーズンになると思います。今シーズンの目標をお聞かせください。

チーム目標は九州リーグ優勝で、三連覇し、「JFLに昇格」すること。個人目標は「失点ゼロの試合を増やすこと」と「セットプレーからの得点で二桁」です。

 

―達成するために、チームでしなければいけないこと、個人でやるべきことなどを教えてください。

大事なのはチームが1つになって、全員が共通意識を持って戦うこと。全員が優勝する気持ちを持たないと最後の局面で何かミスが出たりします。JFL昇格のためには、全社や地域チャンピオンズリーグでの過酷な連戦を乗り切る、チーム全員の力が必要です。

個人としては、レギュラーは確定していませんが、二桁得点は実現可能な数字だと思っています。私のコーチングも苦手意識はだいぶ解消されていますし、自分の中で成長している実感もあります。ロングキックの精度をもっと上げて、前線にパスを正確に届けられたらチームのチャンスにつながるので、そこも磨いていきたいです。

 

―新天地での活躍も、AGATA戦での熱の入ったプレーも期待しています!

年齢的にも、ここ1、2年がプロとしての勝負だと思っていますので、結果を出すことに注力して取り組みます。泥臭い試合を見に来ていただけると嬉しいです。AGATA戦、別人のスイッチ入っちゃうと思います(笑)。応援をよろしくお願いします!

2025.03.18
選手・スタッフ

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