2022.05.01

《インタビュー》2022.05.01 谷口堅三選手インタンビュー

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2022.05.01 第50回九州サッカーリーグ第7節 vs Brew KASHIMA マッチデイニュース 谷口堅三選手インタンビュー


支えに感謝、ゴールに向かう。

まだまだ伸びる。負ける気はしない。

都農でプレー出来て本当によかった。


言葉の端々に、「感謝」の思いが伝わってくる。Jリーガーから地域リーグに至るまで、様々な環境下でサッカーを経験し、学び、自身の糧としてきたからこそ、ベテランFW谷口堅三が語る、その「二文字」は力強い。「33歳となった今でもサッカーができる環境にいること」「地域に関わる仕事ができていること」「家族共々地域に支えてもらっていること」。チームスローガンにも掲げた「感謝」にあらためて思い巡らせ、より強く意識し、ヴェロスクロノス都農3年目の選手として何ができるのか-。自問自答しながら今シーズンに挑んでいる。

体現するかのように、ここ2試合連続で2ゴールを放ち、計5試合で5発。アシストも3つ決めている。開幕5連勝に大きく貢献し「普段の練習で成長しなければ試合で結果は出ないという(小寺真人監督の)方針の下、みんなが練習から全力でやり、結果としてチーム状態がいいから自分が点を取れている」。個人としても、チームとしても成長を遂げたことを強調する。そして「まだまだ100%ではない。伸びしろは十分にある。だからこそチームのバランスを見ながら、厳しく言うところは言う。ベテランの自分の役割を認識しながらやっている」。さらなる飛躍を目指し、「嫌われ者役」も率先して買って出ている。

30歳を過ぎ、「1年で終わり」という、覚悟を持って取り組むようになった。新たな指揮官を迎えた今季も、しっかりと体づくりに努め、万全に近い状態で始動した。小寺監督が掲げる「ポゼッションサッカー」も理解しイメージしながら取り組み、トレーニングマッチを重ねる中で形となったときに「手応えを感じた」と言う。

鹿児島市出身。2人の兄の影響で4歳からボール蹴り始め、以来、サッカー漬けの日々を送ってきた。小学生の頃は少年団、中高ではユースチームに所属した。「中でも高校の3年間は本当にきつかった。ボールに触らず1、2カ月間走り込みのみの期間もあった。辛抱して耐え抜いたことが今でも生きている」。小中高12年間、黙々と汗を流し、基礎を徹底し、FWとしての足元の技術や体の強さを高め、中3でU-16日本代表、18歳でJ2サガン鳥栖入りした。

しかし、さらなる活躍を期したJ3年目に膝の靭帯を断裂。故郷の恩師を頼って当時県リーグの鹿児島FC(現鹿児島ユナイテッド)でもプレーしJFL昇格までの約5年半を過ごした。再びJに戻り、グルージャ盛岡、藤枝MYFCと渡り歩き、光と影を味わった。「サッカー選手だけやっていればいい時、準備・運営にも携わらないとならない時、他の人では経験できないいろんなことを学んだ。それが今の言動につながっている」。紆余曲折の日々を貴重な財産と感じている。


そしてサッカーを続ける道をつないでくれた都農。「よそ者を温かく迎え入れてくれる人情味の厚さのおかげで、ここまで頑張ってこられた」。家族も同じ思いで、長男の璃百(りと)君は来月で3歳となり、自然あふれる都農の大地を元気いっぱいに駆け回っている。「近所の公園でおじいちゃん、おばあちゃんが可愛がってくれたり、遊んでくれたり、お菓子をくれたり。地域で育ててもらっている感じで本当にありがたい。都農に来ることができて本当に良かった」としみじみと語る。


感謝が尽きない人たちにまずは結果で恩返しすべく、今季の目標を「個人としては得点王、アシスト王。チームはJFL昇格」と力強く誓う。これまでのホーム戦2試合を振り返り「多くの人たちに応援してもらい、ボランティアもやっていただいている。こんな温かい環境で試合ができてありがたみを痛感している。頑張っているなという姿を見せたい」と口元を引き締める。「ボールを握る、ハードワークもできるチームになった。自分たちがやっているサッカーをやれば負ける気はしない」。ヴェロスの「顔」背番号9は頼もしく言い切り、さらに感謝を表現するホーム3戦目のピッチに立つ。


※「2022.05.01 第50回九州サッカーリーグ第7節 vs Brew KASHIMA マッチデイニュース 谷口堅三選手インタンビュー」より転載・加筆。

文:鳥原 章弘 写真:中村 武史

2022.05.01
選手・スタッフ

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