2022.05.29 第50回九州サッカーリーグ第9節 vsジェイリースフットボールクラブ マッチデイニュース 中村亮選手インタビュー
10番らしく、熱く華やかなプレーを
リーグ制覇、JFL昇格へ必ず貢献
監督、仲間、地域へ恩返し誓う
代々ピッチを沸かせてきたヴェロスクロノス都農の背番号「10」を、今季から背負う。サッカーを始めてから初のエースナンバー。その重みをかみしめ「何としてでもJFL。そのために貢献できるプレーを泥臭くやる」。25歳、MF中村亮は口元をきりりと引き締め、そう誓う。
阪南大を経てJ3カマタマーレ讃岐入り。通算46試合に出場し、4ゴールを挙げた。契約満了を機に、今年2月、都農にやって来た。持ち味のドリプル突破を武器に、多彩にボールを操るキープレーヤーとして、自身は責任感を高め、周囲は期待を込めた。だが、順調にトレーニングを重ねていた九州リーグ開幕直前の3月中旬、練習中に左足小指を骨折。全治1カ月を強いられた。「コンディションも良かった。大事な時にやってしまった」。開幕ゲームから3試合を棒に振った。
その間、今季から采配を振るう小寺真人監督が掲げる、後方から丁寧にボールをつなぎ、保持し、一瞬一瞬の判断力を追い求める「ポゼッションサッカー」は、一戦ごとに進化した。「プレーできない自分がもどかしかった」。出遅れた「つけ」は大きく、順調に白星を重ねるチームの中で流れに乗り切れていない。復帰してからの計4試合でスタメン出場は1度もなく、出場時間も120分にとどまり「判断が遅かったり、悪かったり。強度も上がっていない。毎回チャンスはもらっているのに満足のいくプレーは一つもできていない」。10番としてのふがいなさを感じている。
だからこそ、「小寺サッカー」において、自身に欠けている部分を日々真剣に考え、試行錯誤を重ねながら練習に取り組む。「戦術理解と心を磨き、これから続く厳しい戦いの中で貢献度を高めていく」。前チームとの契約が切れて思い悩んでいた時、参加したトライアウトで目を留めてくれた小寺監督に、温かく迎え入れてくれたチームメートに、熱心な応援で支えてくれる都農の人たちに、必ずや結果で恩返しする覚悟だ。
鹿児島市北部の山あいに位置する牟礼岡出身。小学2年の時、上級生に誘われた昼休みのサッカー遊びをきっかけに、夢中になった。地元の少年団に入り、中高一貫校に進み、鹿児島城西高時代は冬の選手権に2度出場。大学サッカーの名門阪南大に進んだ。ただ、その道のりは決して平たんではなく、「高校ではレギュラーをつかめない時の方が長く、大学では3年までほぼBチーム。Jでも2、3年目は出場機会が限られた」。苦しい環境に置かれた時、心掛てきたことは「気持ちだけは折れないこと。あきらめないこと」。練習だけは地道に積み重ね、努力の甲斐あって、プレーヤーを続ける上で大切な節目で輝きを放ち、サッカー人生が続いている。
都農に来て5カ月近く、地域おこし協力隊の一員としてデジタルフレンドリー業務をこなし、タブレット端末の操作アドバイスのため地域を回り、高齢者の方たちと触れ合う。訪問を楽しみにしてくれて、あふれる笑顔で会話を交わしてくれて、「頑張んないよ」「応援に行くかいね」と背中を押してくれるという。「力になる。人と人の距離感が近くて、人がいい都農を選んで本当に良かった。山もあり川もあり、自分が育った故郷とも似ているし」と、心地良い都農ライフを送っている。
この日迎え撃つジェイリースFC戦を皮切りに、FC延岡AGATA、沖縄SVと実力が高く勢いもあるチームとの対戦が続く。リーグ制覇を占う上で重要な前節のヤマ場に向け「まずはスタメンを目指し、全力で練習に取り組む。攻守の切り替え、球際の強さ、勝負所で気を張ってやりたい。負けたくない気持ちを前面に出す」。あらゆるシチュエーションを想定し、10番らしく、熱く力強くそして華やかにピッチを駆け回る。
※「2022.05.29 第50回九州サッカーリーグ第9節 vsジェイリースフットボールクラブ マッチデイニュース 中村亮選手インタビュー」より転載・加筆。文:鳥原 章弘 写真:中村 武史
- 2022.05.29
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